タンパク質やカルシウムに比べると地味な存在ですが、マグネシウムも犬にとって欠かせないミネラルです。骨や歯の形成に関わるほか、筋肉や神経の働き、エネルギー代謝など、体のあちこちで使われています。

最近、基準が変わった栄養素

日本の「総合栄養食」は、AAFCOが定めた栄養素の枠組みを採用しています。そしてAAFCOは、2016年に栄養素の枠組みが改訂されました。その際に、大きく変化した栄養素の一つが、マグネシウムです。

1997年版2016年版(現行)
最低値(乾物換算)0.04%0.06%
最高値0.3%撤廃

2016年の改定で、最低値は1.5倍に引き上げられました。一方で上限は撤廃されています。これは「マグネシウムはいくら摂っても安全」というわけではなく、犬に特化した過剰摂取の研究データが十分になく、具体的な上限値を科学的根拠を持って設定できなかったためです。

マグネシウム=結石!?

マグネシウムと聞いて、猫の尿路結石(ストルバイト)を思い浮かべる方もいるかもしれません。ただしこれは主に猫の話で、犬には単純に当てはめられません。

猫のストルバイト結石は、食事中のマグネシウムやリンの過剰摂取が関わる「無菌性」のケースが大半を占めます。一方、犬のストルバイト結石は、その9割以上が尿路感染症(細菌がウレアーゼという酵素を出し、尿をアルカリ性に傾けることで結石ができやすくなる)が原因で、食事中のマグネシウム量が直接の引き金になるケースはごくわずかとされています。つまり犬の場合、ストルバイト結石の予防で注目すべきは、尿路感染症の有無や尿のpHであって、マグネシウムの量ではないのです。

マグネシウムが不足したら?

マグネシウム欠乏症では、食欲不振や体重低下、手首の関節の過伸展や運動失調、大動脈の石灰化などの報告があります。 基本的に総合栄養食のドッグフードを与えていれば、欠乏の心配はありません。手作り食の場合は、マグネシウムが豊富な食材、鶏肉、豚肉などを取り入れたり、骨などをおやつに与えることで、不足を予防できるでしょう。

参考文献

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