「無添加」は安全安心?

「無添加」「保存料不使用」「酸化防止剤不使用」パッケージにこう書いてあると、なんとなく安心しませんか?

ですが、「保存料無添加」「酸化防止剤不使用」は、それ自体が新しいリスクと引き換えになっている場合があります。

フードの中で起きている化学反応

ペットフードには、必ず脂肪分が含まれています。「○○脂肪」「○○油」と書かれていなくても、チキンやビーフといった原材料そのものに脂肪が含まれているためです。

この脂肪(特に不飽和脂肪酸)は、光や空気に触れると酸素と結合し、「過酸化脂質」という不安定な物質に変わります。過酸化脂質はさらに分解が進み、アルデヒドやケトンといった物質を生み出します。これが、酸化した油特有の異臭や風味の劣化の正体です。

この分解生成物が消化管を刺激することが、嘔吐や下痢の一因になるとされています。また、酸化の過程ではビタミンE・ビタミンAといった脂溶性ビタミンも同時に壊れてしまうため、栄養価そのものが下がっていきます。

酸化防止剤は、まさにこの化学反応を遅らせるために加えられている添加物です。

水分が多いほど、菌の増殖のリスク

セミドライやジャーキー、ウェットフードなどの水分の多い製品については、酸化の他に微生物(細菌・カビ・酵母)の増殖のリスクがあります。

微生物の増殖には、そのフード中に、菌が実際に使える水分がどれだけあるかが関わります。これを専門的には「水分活性」と呼びます。同じ水分量でも、糖や塩で閉じ込められて菌が使えない水と、菌がそのまま使える自由な水があり、後者が多いほど微生物は増殖しやすくなります。細菌、酵母、カビでは増殖できる条件が異なり、特にカビは乾燥に強く、わずかな水分でも生き延びてかび毒(マイコトキシン)を作ることがあります。

つまり、水分の少ないドライフードであれば、カビ毒のリスクは残るものの、微生物のリスクは低く、水分の多いウェットフードやジャーキー、セミモイストフードほど、微生物の増殖リスクが増えます。そのため、それらのフードでは、菌が使える水を減らすための工夫(保湿剤・保存料・pH調整剤)が、製品設計の前提として組み込まれているのです。

保存期間の目安を見ても、この違いは明確です。ドライフードの使用期限は開封後およそ1か月であるのに対し、ウェットフード(缶詰・レトルト)は開封後1日が目安とされています。

「無添加」フードは厳密に管理を

もちろん「無添加」フードを選ぶこと自体は、決して間違いではありません。ただしその場合、保存料が担っていた役割を、飼い主側が担う必要があります。具体的には、開封後のフードを冷蔵保存したり、真空パックを活用したり、より厳密な管理が必要です。そうでなければ、安心安全なフードのはずが、ちょっと心配なものへと変わってしまうからです。

参考文献