リンは、カルシウムと並んで骨や歯を作る主要なミネラルです。それだけでなく、ATP(エネルギー通貨と呼ばれる分子)や核酸(DNA・RNA)の構成成分でもあり、体の隅々でエネルギー代謝に関わっています。このようにリンは体に必要なミネラルですが、摂りすぎると体外に排出しきれず、蓄積していくことがあります。中でも影響を受けやすいのが腎臓です。

ペットフードの業界基準では、リンの上限は1.6%と定められています。これは、主に成長期の健全な骨形成を目的とした数値であって、腎臓への配慮から設けられた上限ではありません。今なお、安全上限そのものが設定されていないのです。

リンは「量」より「由来」が問題

というのも同量のリンであっても、由来によって体への影響がまったく違うことが、2021年の研究で明らかになりました。

健康な成犬たちに、18日間、通常量のリンを含むフードと、リンの量を増やしたフードを食べさせる比較実験が行われました。さらにリンの量を増やしたグループ内で、リンの由来を、1. 肉由来のもの、2. 水に溶けやすいタイプのリン酸塩、に分けて、それぞれ体への影響に違いが生じるかどうかが検証されました。

その結果、肉由来のリンを増やしたグループでは、通常のフードを与えられた犬たちと比べて、ほとんど変化は見られませんでした。それに対して、水に溶けやすいタイプのリン酸塩を使用して、リンの摂取量を増やしたグループでは、リンの吸収率が上がっただけでなく、血中リン濃度が上昇し、骨からカルシウムを溶かし出す原因にもなる副甲状腺ホルモン(PTH)にも変化が見られました。つまり、「肉由来のリン」と「添加物由来の、水に溶けやすいタイプのリン」では、たとえ同量であっても体への負担が違う、ということが明らかになったのです。研究者たちは、こうした負担が、将来的には腎臓にも影響を及ぼしうると指摘しています。

本サイトの比較表では、メーカーが公表しているものに限って、リンの含有量を確認できます。量に加えて、それが肉由来のものか、あるいは添加物によるものか、原材料まで含めて見てみることをお勧めします。あるいは、リン酸塩が原材料に使われていないかも確認してみるのも良いでしょう。

参考文献