「大豆粕」「ビートパルプ」というような表示にどのようなイメージを抱きますか? なんとなく安っぽい、かさ増しのための原材料との認識であれば、それは大きな誤解です。これらは、栄養学的にも優秀な原材料とも言えるでしょう。
実は、栄養価の高い原材料
大豆粕(大豆ミール、または脱脂大豆とも呼ばれます)は、大豆から油を搾った後の副産物ですが、高タンパクかつ低コストの原料で、ペットフードにおいて動物性タンパク源とともに重要な役割を果たしています。きちんと加工された大豆由来のタンパク質は、消化率が牛肉や鶏肉、骨粉と同程度(85〜90%)になることも報告されています。
かつて、大豆や大豆粕が、鼓腸(お腹にガスが溜まる状態)や、胃拡張捻転症候群(GDV、いわゆる胃捻転)を引き起こすため、犬の健康に良くないと言われたことがありました。しかしGDVで胃にたまるガスは、主に食事中に飲み込んだ空気によるもので、大豆の発酵が原因ではないとされており、GDVとの関連は複数の研究で否定されています。一方、大豆に含まれるオリゴ糖が大腸で発酵することで、鼓腸につながることはありますが、実際の給餌試験では、便の状態を悪化させることなく、むしろ腸内の善玉菌が作る物質(短鎖脂肪酸)を増やす方向に働くことが確認されています。
豆腐粕(おから)も、消化性の食物繊維を約50%、タンパク質を約25%含む原料です。犬用フードへの活用を検討した研究では、消化管の健康全般に役立つ可能性があると評価されています。
ビートパルプって何?
ビートパルプは、ビート(甜菜、砂糖大根)から砂糖を搾り取った後の搾りかすです。
セルロースなど他の食物繊維源と比較して発酵性が高く、腸内で善玉菌のエサとして働きやすいことが確認されており、海外では「スーパーファイバー」と呼ばれることもあります。
ビートパルプを含むフードでは、便の量や水分がやや増える傾向がありますが、これは食物繊維が正常に働いているサインで、悪いことではありません。腸の蠕動運動を適度に刺激し、便通をスムーズにする効果として、むしろ療法食などでは意図的に活用されることもあります。ただし、食物繊維である以上、配合量が増えると他の栄養素の消化率がわずかに下がる傾向もあり、量の調整は必要です。
なぜ誤解が生まれるのか
こうした原材料への誤解が根強い背景には、以前の記事で取り上げたミール系原料と同様、「加工されている=粗悪」という短絡的な連想も背景にあるように思われます。自然のまま・未加工であることこそが最上である、という誤ったナチュラル志向が背景にあるのかもしれません。
そうしたイメージを抜きにして、原材料を科学的にみると、タンパク質や食物繊維といった栄養素を含んでおり、なおかつ単体では廃棄されていたはずの部分を活用することで、資源を無駄にしないという観点からも、近年あらためて注目されています。
参考文献
- 大島誠之助.2021.ペットフードの主な原料.ペット栄養学会誌,24(1):27-38.
- 迫田順哉.2018.ペットフードで使用される主な食物繊維・オリゴ糖源原料.ペット栄養学会誌,21(3):163-172.
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- Purina Institute. Myth or Fact? Soy. VET 3010B-0418.
- De Godoy, M. R., Kerr, K. R., Fahey, G. C. (2013). Alternative dietary fiber sources in companion animal nutrition. Nutrients, 5(8), 3099-3117.